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佐々江大使 ポートランド日本庭園ご訪問 2013年10月19日

桜 ― 多くの人々が春の訪れを祝い、ポートランド日本庭園に来園されました。昨年には50周年記念を多くの方のご支援を受けて無事終えることが出来ました。この成功を基として庭園では次なる50年を視野に入れ様々な活動や発展を計画いたしております。ポートランド日本庭園インターナショナル アドバイザリー ボード(IAB)は、ポートランド日本庭園と地元コミュニティーやアメリカ国内、そして日本と国際社会との架け橋として活躍するための重要な役割と使命を担っております。この春には、佐々江 賢一郎 氏(在アメリカ合衆国日本国大使館 特命全権大使)が名誉メンバーにご就任賜り、ポートランド日本庭園にとってはこの上ない栄誉となりました。また、以前は東京在住で、現在ニューヨークでご活躍されているジャネット モンタグ女史と、キャッシー  パイク女史も新たにIABメンバーにご任いただきました。新メンバーと共にポートランド日本庭園の更なる発展を願い、昨年秋に開催したしました弊園50周年記念祝賀会における佐々江大使のご祝辞(英語)を引用ご紹介させていただきます。ご祝辞では、日本庭園や庭園との意味、そして、ここオレゴン州ポートランドの伝統的な日本庭園の役割・発展についてお話しいただきました。


その国について知りたければ、その国の庭園や映画や食文化などを視てみれば多くのことを知ることができます。日本を語る上で「庭園」は不可欠な存在であるということに疑いはありません。

ワシントンの日本大使館および大使公邸にも日本庭園があります。大使館の庭園の伝統的な茶室からは茶庭が見えます。茶室は百年の意から「一白亭」と名付けられました。詩的な名称を持つこの茶室は、1960年、日米修好通商条約百年を記念して造られました。

公邸では、床から天井まである窓から茶室と池に泳ぐ鯉が見えます。岩や松、灯籠など、日本庭園の要素全てがあります。朝、公邸の玄関を出るたび、私は肩越しに広がる庭園の平和を感じずにはいられないのです。

日本と西洋の庭園の大きな違いは、日本庭園は精神的な要素を重要視している点にあるように思います。西洋の庭園から精神的な充足が得られない、と示唆するわけではありません。西洋の庭からも、もちろん心の安らぎは得られます。

私は劇作家のジョージ バーナード ショーの「神を見出す最良の場所は庭にあり 庭を掘れば神を見出すことができる」という言葉がとても好きです。人は土を手にすることで精神的な安らぎが得られます。

日本庭園は心という精神的な要素を主に設計されているという点を私は強調したい。食の為の菜園ではありません。色溢れる花園でもありません。禅宗寺院の庭は瞑想にふける場所として禅庭を造りました。

日本の庭は非対称、簡素、自然を探求します。日本庭園は自然そのものを凝縮した形。自然を小型化したのか、象徴するのか、理想化したのか。それは実際、ポートランド日本庭園で言うと、山や滝や森など、ポートランドを取り巻く風土や自然を感じ取り凝縮化したものではないでしょうか。日本庭園では岩は山を象徴するかもしれません。水の音は時間の経過を象徴するかもしれません。砂紋は湖面に立つ波を現しているのかもしれません。私は個人的には、苔の穏やかさと滑らかさの中にも感じられる力強さが好きです。

これらの要素から成る日本庭園は世界を現すと同時に、その世界から切り離されている。世界について何かを語るように、また私達自身を振り返るように。ある人が、庭は自伝のようだと言っていましたことに若干同意します。

では、日本庭園は日本の人々をどう語るのか。それは、治と和と静を求めており、我々が求める理想は自然であるということだと。ポートランドの日本庭園は皆様について何かを語っています。それは、ポートランドは異なる文化や人々、そして思想などを恐れることなく受け入れる街ということです。


IABは2011年の発足以来、日米合わせて29名のメンバーにまで成長しました。メンバーは、ポートランド日本庭園と地元コミュニティー、アメリカ国内、そして日本や国際社会とを繋ぐ架け橋とし、ガバナンスの補足、そして強化を図り、日本庭園・日本文化啓発活動を更に進めるべく庭園幹部スタッフをサポートして行きます。