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永遠の平和と友好の象徴

戦争の傷を癒す

1945年に第二次世界大戦は終焉しましたが、多くの人々の心
に深い傷を残すことになりました。戦後、全米そしてポート
ランドでも反日感情はなお実在し、戦争の傷が癒えるのは
遠い将来に感じられました。

戦後10年も経たない頃、横浜港からポートランド港行き商
船が出されました。船には、当時の横浜市長平沼亮三氏が
ポートランドに「友好と平和の灯を点ずる」として寄贈した
雪見灯籠が積載されていました。灯籠には「Casting the
Light of Everlasting Peace(恒久平和の灯をともす)」と
いう文字が刻まれており、この灯籠は後にピースランタンと
呼ばれるようになりました。灯籠は、横浜とポートランドと
の新しい友好関係の第一歩を象徴し、文化交流と経済発展
の観点から、多くのポートランドの市民たちにとっても日本
との関係の再構築を考え始めるきっかけになりました。

Photo by Jonathan Ley

平和の意を引き継ぎ絆を強める

横浜との友好関係を築いたピースランタンがポートランドに
到着してから今年で63年が経ちました。多くの友人関係に
例えられるように、時の流れはお互いの絆の強さを確かめ
合う機会を与えてくれます。

昨年、ポートランド日本庭園ガーデンキュレーターの内山貞
文が日本へ出張した際、「第33回全国都市緑化よこはまフェ
ア」の参与であり恩師の進士五十八(しんじ いそや)教授
より内山にフェアについて相談がありました。

進士先生は、フェアに花や緑だけではなく、何か象徴的で
不朽なものを組み入れたいと考えていらっしゃいました。ラ
ンドスケープは人類文化と歴史の認識に大いに関わってい
るという先生の意思に反応するかのように、内山は、同園
にある横浜市から贈られた石灯籠の存在について伝えまし
た。こうして、2人の食事の席での何気無い会話から、フェア
の新しいアイディアが生まれました。

Photo by Julia Taylor

アイディアの実現化

進士先生は横浜市にピースランタンをフェアで紹介することをご提案されました。林文子市長はじめ横浜市議会は賛同し、フェア会場の一つである横浜公園内の日本庭園「彼我庭園」の再整備に合わせ、ピースランタンの複製を制作し設置することが決められました。また、横浜市の意向は、ポートランド日本庭園に設置されているピースランタンと同じように池畔に設置したいということでした。

2017年3月25日、フェアのグランドオープンにて新しく完成したピースランタンが公開されました。特にその灯籠設置の背景について大きな評判を呼びました。

「元々は63年前に2都市間に起きたささやかな出来事だったかもしれません。しかし今こうして両市の友好関係がよみがえっています。この素晴らしい歴史のおかげで、今後も両市の関係は成長し続けるでしょう。」内山はそう語りました。

Photo by Steve Bloom

彼我庭園のピースランタン友好関係を復活させる

現在、笠に苔をかぶったポートランド日本庭園のピースランタンは、両市がお互いの異文化間の理解と尊重を切望するシンボルとして、ポートランド日本庭園内池泉回遊式庭の池畔東側に立っています。

63年の歳月と5,000マイル(約8,000キロ)もの距離を経て、ピースランタンの忠実な複製は横浜市の「彼我庭園」内に設置され、今日、故郷でも「友好と平和の灯」を点じています。ピースランタンの歴史が突然現代にかえりみられ、両市は友好関係の復活の第一歩を踏み出したと内山は実感しています。